2.北朝鮮の対南政治工作の目標と工作機構

 北朝鮮は、政治闘争に対して、「圧迫される勤労人民大衆の政治的自主性を実現するための政治分野での闘争として、議会闘争、群衆集会、政治的性格を帯びたスト、暴動、武装闘争等の各種形態があり、最高形態は、武装闘争である」(朝鮮語大辞典 II:平壌、社会科学出版社92年3月20日、p.212)と定義している。

 彼らは、「一定の政治的目的を実現するため、大衆を教養し、革命闘争に組織動員する政治事業を秘密裡に地下で行われる政治闘争」(上掲書、p.210)を政治工作と言っている。

 彼らは、「工作は、一定の任務を受け、その執行のため活動すること又はそのこと」(朝鮮語大辞典I:平壌、社会科学出版社92年3月20日、p.276)と言う。

 以上の解析を総合してみれば、政治工作は、韓国の自由民主主義体制と市場経済体制を転覆させようとする政治的目的を達成するため、人々を革命闘争に組織、動員する任務を遂行する活動を言えるだろう。

ア.対南革命戦略基礎と政治工作方向

 朝鮮半島の共産化を目標とする北朝鮮は、80年代に入り、韓国社会が政治体制面で米帝国主義に従属する植民地社会であり、社会経済構造は、自主小作制度等、半封建的残滓と資本の前近代性、買弁性等が重畳している資本主義社会だとして、植民地半資本主義社会とし、植民地半資本主義社会と規定することによって、以前までの半封建社会規定から脱皮した。

 これにより、革命力量の編成においても、85年7月、北朝鮮の韓国民族民主戦線出帆と時を合わせて、革命の主力軍として以前の労働者と農民に新たに進歩的青年学生を追加した。

 そして90年代に入り、革命の補助力量の第1順位である進歩的知識人を主力軍隊列に繰り上げた(知識人達は、革命闘争と社会発展の主動力<平壌放送、91年12月5日>、韓国社会変革運動の力量編成において・・・インテリは、変革の主体の構成部分を成している・・・金正日同志が教えられたように、韓国において高い民族自主意識と民主主義変革性を持っている進歩的で、良心的なインテリは、変革の基本動力の構成部分として、変革闘争において大きな役割を果たしているため、変革の主力軍となる。我々は、このような良心的なインテリを変革の主力軍隊伍に徐々に束ねることによって、彼らの変革の自主的な主体としての役割を円満にするようにしなければならなだろう<救国の声放送、93年8月20日>)。

 ところで、北朝鮮は、95年に入り、対南戦略路線を新たに「民族解放民主主義変革運動」と表現し、変革運動条件と動力に関して、次のように主張している(民族解放民主主義変革運動に関する平壌放送の特講、95年3月、6月に80余回報道)。

 即ち、各回各層の広範な人民大衆が自主性を蹂躙され、国家主権から排除される社会政治的素地の共通性と基本生産手段を剥奪している社会経済的素地の共通性等により、現在の社会的変革運動基盤は良好である。

 外勢の植民地略奪と圧力により、経済的危機が深刻化し、勤労者の生活改善要求を暴力で抑圧し、米帝とその手先に対する各界各層の不満が高潮する等、韓国全域において変革運動が胎動し、客観的情勢が上手く発展している。しかし、これに変革力量の準備が相応して従うことができないでいるのが実状ということである。

 一言で言って、北朝鮮は、90年代に入り、韓国の社会的変革運動基盤が良好となり、変革運動すら胎動する等、いわゆる客観的情勢が上手く発展しているが、これを変革・革命運動に転換させる変革力量がいまだ及ばないと診断しているということである。

 これにより、彼らは、このような変革運動与件と関連して、変革運動の対象を「自主性実現闘争に立ち上がらない米帝侵略勢力とこれと結託している反動官僚輩・買弁資本家・地主と規定して、労働階級・農民・青年学生・良心的知識人を基本動力とし、都市小資産階級・愛国的民族資本家・愛国的軍人・良心的宗教人等を動力にする歴史上最も広範な社会的階級・階層が参加する変革運動を展開するように要求している」(民族解放民主主義変革運動に関する平壌放送の特講、95年3月、6月に80余回報道)と主張している。

 これは、現段階の北朝鮮が「民族解放人民民主主義革命」路線を固守したまま、これを「民族解放民主主義変革運動」と表現し、「国際及び対内革命力量」の退潮・萎縮と韓国の転換期的流動状況等を意識し、変革運動の大衆的基盤拡充と変革力量の強化に全力投球する意思を表しているものである。

 80年代後半以来、北朝鮮の対南政治思想攻勢は、これを基礎として、次のような形態で現れていると言える。

 即ち、政治攻勢は、主として平和協定締結と米軍撤収等、「民族主体性」を刺激し、反米自由化闘争を煽動しつつ、対米協商、連席会議、主体思想(民族自主性論理の部分)、民族主義(朝鮮民族第1主義)、全民族大団結、10大綱領、連邦制の主張等により、韓国安保体系の瓦解を狙った攻勢に力を注ぐ。

 思想的攻勢は、民主化、国家保安法撤廃、左翼人事釈放、貧富格差、社会非理、労使紛糾、学園騒擾等の助長により反政府闘争煽動と民衆暴動誘発煽動に力を注ぐ。

 そして、このような政治・思想攻勢を主としつつ、間諜浸透・地下党組織の扶植、親北勢力拡張、反政府、反体制隠害謀略・脅迫と殺傷、テロ等を行う政治・思想工作に尽力する。

イ.対南政治工作機構

 対南政治工作機構は、
 

  1. 党の部署として、統一戦線部・社会文化部・対外情報調査部・作戦部

  2. 別途部署として、政務院中央放送委員会・人民武力部偵察局・国家安全保衛部

  3. 党外郭団体として、祖国平和統一委員会等100余個部門別団体と韓国民族民主戦線(韓民戦)海外同胞援護委員会、そして

  4. 海外前衛組織として、80余個の親北僑胞団体と香港・日本等にある偽装事業体等

がある。

 特に、党統一戦線部は、黒色放送である民民戦放送を含むラジオ放送・TV拡声器放送・伝単等の各種手段を利用、特定人に対する捏造・誹謗・反米・反政府闘争煽動、国軍及び社会実状歪曲捏造宣伝・10大綱領・対米平和協定等の偽装平和攻勢、ウリ式社会主義の優越性宣伝等による韓国政府の正統性毀損、国民大衆の対政府不信感・憎悪心拡散、国論分裂による反政府闘争意識鼓吹及び社会混乱の雰囲気造成に力を注いでいる。

 以上で言及した党と政務院・党外郭団体は、海外前衛組織等と連係し、対南政治・思想工作を展開している。

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最終更新日:2003/11/04

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